スタッフ通信
ワクチン接種の勧め
今年も10月1日からインフルエンザや新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。ワクチンに対しては否定的な意見も散見されますが、科学的根拠に基づくとやはり接種をお勧めせざるを得ません。
日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会の3学会は先頃ワクチンの定期接種を「強く推奨する」との共同見解を発表しました。特に高齢者で新型コロナウイルス感染COVID-19による重症化や死亡のリスクが高いことやウイルスの変異が続いていて再感染のリスクも依然として高いことをその理由として挙げています。
3学会によると、国内のCOVID-19による死亡者数は2024年に3万5,865例に上り、同年のインフルエンザ感染による死亡者数2,855例を大きく上回っています。3学会は、高齢者にとってCOVID-19の重症化リスクはインフルエンザと「少なくとも同等かそれ以上」だと指摘しています。
2024年秋冬に接種が行われたJN.1対応新型コロナワクチンは、国内の多施設共同研究で65歳以上の発症を52.5%予防し、60歳以上の入院を63.2%予防する効果が確認されています。しかし、新型コロナワクチンの効果は変異株の影響もあり、接種後数ヶ月で減衰するため、インフルエンザワクチンと同様に、その年の流行株に対応したワクチンを毎年接種する必要があります。また、過去にオミクロン株の感染歴がある場合でも、6カ月以上経過すると再感染のリスクが増えることが報告されており、COVID-19感染から3~6カ月以上経過していればワクチン接種が望ましいとされています。
安全性については、接種後に発熱や倦怠感など一過性の有害事象がみられるものの、その頻度は接種回数が増えるに従って減少傾向になると報告されています。また、国内外からの研究から、ワクチン接種により死亡リスクが増加するという事実はないことも判っています。
3学会はワクチンの利益とリスクを科学に基づき正しく判断した上で、その接種を推奨しています。
当クリニックでもインフルエンザワクチン接種を行っておりますので、お気軽にご連絡ください。
消化器内科 光永 篤