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ピロリ菌感染が大腸癌とも関連!?

健診で上部内視鏡検査(胃カメラ)を受ける人が、検査前に必ず聞かれるピロリ菌ですが、発見からすでに40年が経過しました。発見当初からピロリ菌は慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃癌、胃マルトリンパ腫などの疾患の原因として注目され、除菌治療を受けることで、これらの疾患の予防・治療に繋がることが明らかにされてきました。当クリニックでも胃癌の予防を目的にピロリ菌感染が明らかになった受診者には積極的に除菌治療を勧め、すでに治療を受けられた方も多いことと思います。そんなピロリ菌に関して最近大腸癌との関連が示唆されるとの研究論文が米国の研究者により発表されましたので、ご紹介したいと思います。

ピロリ検査を受けた81万2736人のうち、陽性者は20万5178人(25.2%)で、ピロリ菌感染陰性の人との比較で陽性者の大腸癌発症リスクは18%高く、死亡リスクは12%高かったとするものです。また、ピロリ菌除菌治療を受けた人達に比較し、受けなかった人達では大腸癌発症リスクは23%高く、死亡リスクは40%高かったとのことです。この結果から同研究グループは「ピロリ菌感染は大腸癌の発症および死亡リスクとも関連している可能性がある」と結論付けています。

これまで大腸癌の原因として取り上げられてきた要因は、喫煙、飲酒、肥満、高脂肪食などですが、ピロリ菌感染も関与しているということになると、生活習慣の改善に加え、ピロリ菌感染のチェックもして頂き、陽性であれば積極的に除菌治療を受けることをお勧めしたいと思います。

消化器内科 光永 篤