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冬場の感染症はインフルやコロナだけではない!

寒い季節になって毎年インフルエンザとともに増えてくるのが、ノロウイルス感染やロタウイルス感染です。インフルエンザの予防にはワクチン接種があり、コロナで身近になったエタノール消毒も有用ですが、ノロやロタには効果が無いとされています。エタノールはウイルスを形成する外膜の蛋白質を変性させ効果を発揮すると考えられていますが、非常に強固な外膜タンパクで被覆されたノロやロタウイルスには効果が乏しいとされ、代わりに次亜塩素酸ナトリウムが消毒薬として使用されます。ただ、この薬剤に対する皮膚過敏のため使用できないケースも多いのが実状です。

ノロやロタウイルスは感染力が非常に強く、わずか10~100個ほどのウイルスが口から入っただけでも感染が成立し、腸管内で増殖して下痢や嘔吐などの症状を発症させるので、ウイルスを体内に入れないことが感染予防に重要となります。それにはコロナウイルス感染予防の際に皆さんが身につけた手洗いの習慣が最も重要で、特に外出先から帰宅された際にはまず最初に手洗いを行うことが肝要です。

また、感染流行時には下水道などを通じてウイルスが海に流れ込み、牡蛎などの二枚貝にウイルスが蓄積され、これを食べることで感染を来すこともあります。これらのウイルスは、食品の中心部を85~90℃で1分以上加熱すれば、感染性がなくなるとされていますので、感染流行期には二枚貝の生食は避けて頂いた方が安全です。

これからの時期、飲んだり食べたりする機会が増えますが、インフルエンザやコロナウイルス感染以外にも流行するウイルス感染症のあることを忘れず、気持ちよく新年をお迎えください。

消化器内科 光永 篤