Menu

コロナと嗅覚障害

年初から急増したオミクロン株によるコロナ感染も漸く下火になりつつありますが、この変異の激しいウイルスに油断はできません。皆様ももう馴染みかと思いますが、ウイルス粒子表面には細胞に感染するためのスパイク蛋白と呼ばれる突起があり、これが様々に変化することで感染力や感染後の症状に変化が出てくることになります。コロナ流行当初よく耳にした味覚や嗅覚の異常といったものは、最近の流行株であるオミクロンでは少ないようですが、コロナ感染によってもたらされる症状がどのような機序で起こるのか世界的に研究が進められています。嗅覚障害について、最近、フランスの研究グループが、嗅裂という臭いを嗅ぎ取る嗅細胞が集まっている場所の粘膜が感染により閉塞することで臭いが判りにくくなるとの報告をしています。同報告に依れば60~70%の患者で感染後2~4週間でこの閉塞が治癒するものの、その後も閉塞が残り嗅覚障害が持続する患者もいるとのことです。

いずれにしても今後さらに多くの症例が検討されることで、コロナの後遺症に関する知見も集まってくることと思いますが、コロナに感染しないに越したことは無く、引き続き基本的な感染予防を怠らないで頂きたいと思います。

消化器内科 光永 篤