歩くだけで健康になれる?!

前回、歩くことが健康に資する効用について記載しましたが、今回、米国の研究機関より「歩くことの効用」を実証するさらに詳細な研究報告がなされましたので紹介したいと思います。

米コネチカット大学運動学分野のPescatello氏らは、高齢高血圧患者21人(66~83歳、女性13人、男性8人)に対し一日当たり3000歩の追加歩行を課し、対象者に歩数計、血圧計、歩数記録帳を配布して、血圧の変動を調査した。その結果、平均歩数は試験開始時の3,899±2,198歩から20週間後には5,567±2,587歩へと有意に増加し、平均収縮期血圧が137±10mmHgから130±11mmHgへ、平均拡張期血圧が81±6mmHgから77±6mmHgへと有意な低下が見られたとしている。歩行が血圧に及ぼすこのような効果は、降圧剤服用の有無に関係なく認められており、本試験で認められた程度の血圧低下は、あらゆる原因による早期死亡リスクを11%、心臓関連死亡リスクを16%、心血管疾患発症リスクを18%、脳卒中発症リスクを36%低下させる効果があると述べている。

なお、本研究では、歩行速度や1回の歩行時間よりも、歩数の増加の方が重要なことが示されており、この結果からPescatello氏は、運動も高血圧治療の手段の一つになり得るとし、重要なのは運動の強度ではなく運動量であり、歩数の増加を目標とすることで、健康に有益な効果が期待できると述べています。

消化器内科 光永 篤

 

ご予約はこちら