糖尿病の方での血糖コントロールならびに肥満の方での減量の重要性

今日は膵臓という臓器に関し少し専門的な話をさせて頂きます。

膵臓にはインスリンなどのホルモンを産生する内分泌細胞と、蛋白質を分解する消化液である膵液を産生する外分泌細胞がありますが、糖尿病や肥満の方に見られるインスリン抵抗性(インスリンの作用が十分機能しない状態)があると、膵臓はインスリン分泌を増やすことでその状態に対応しようとしますので、体は高インスリン状態となります。最近、この高インスリン状態が内分泌細胞の疲弊を来すと同時に、外分泌細胞である膵腺房細胞の炎症を惹起することがカナダの研究者により明らかにされました。長期にわたる炎症は炎症を来している細胞の癌化を来し易くすると考えられることから、炎症の原因となっている「高インスリン血症」を改善することが膵癌の予防に繋がると考えられます。それには適格な血糖コントロールを行うとともに、肥満者においては適切な食事療法と運動による減量が重要な鍵となります。健診で体重増加と腹囲の増加を指摘された方は、健診を受けっぱなしにすることなく、次年度へ向けての指標として活用して欲しいと思います。減量に関しては当クリニックの管理栄養士である西もコラムに書いていますので、この機会に是非参照して頂き、減量にチャレンジするきっかけにして頂ければ幸いです。

消化器内科 光永 篤

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